面白くて読み応えのある漫画を結末まで一気に読みたい!そう思うことありませんか?漫画を読むのは好きだけど、あまりにも巻数が多い大作だと新たに読み始めるにはハードルが高く感じてしまいますよね。
今回はそんな方におすすめしたい【5巻以内で完結する読み応え抜群の漫画】を紹介します。
MINDASSASSIN~マインドアサシン~
- 作者:かずはじめ
- 単行本:全5巻(文庫版全3巻)
- 話数:全35話
- 連載期間:1994年~1995年
あらすじ
奥森医院を経営する町の開業医・奥森かずいは虎弥太(こやた)という少年と2人で暮らしながら町の住民たちの診察をする日々を送っている。しかし奥森には秘密があり、彼は他人の記憶を消し去る特殊能力を持つ暗殺者「MINDASSASSIN」と呼ばれる裏の顔を持っている。様々な苦しみやトラウマを持つ患者が救いを求めて病院を訪れ、奥森は彼らの苦しみに親身に寄り添い、自身の能力を使って患者を救っていく。
見どころと感想(詳細なネタバレは無し)
奥森のもとを訪れる患者たちはトラウマともいえる過去の苦しみを持っていて、その原因を作った加害する側の人間も登場します。奥森は患者たちを救うために苦しみの記憶を消し去り、加害者側に対しても精神を破壊するなどの罰を与えます。そのようなエピソードが数話で完結するオムニバス形式で描かれています。
基本的に悪を罰し患者を救うという統一されたテーマがあるのでそこは後味も悪くなく安心して読めるポイントだと思いますが、少々大人向けの作品かなという印象。患者は奥森に記憶を消してもらうことで苦しみから救われますが、彼らの過去を知ったうえで記憶を消すという救いを与えた奥森自身はそれらをずっと覚えているわけです。加害者への怒りや患者の苦しみは奥森の心にはずっと残っているんですよね。だからこそ読み終わった後にただ爽快な気持ちになるのではなく、何とも言えないせつなさを感じるのだと思います。
あと、この作者さんの絵はとても透明感があって美しいです。美しく儚いような絵が世界観と抜群に合っていてそこも魅力的です。
Unify~ユニファイ~&Unify~ユニファイ~セカンドジェネレーション
「MINDASSASSIN」の作者・かずはじめの短編集2冊
- Unify~ユニファイ~収録作品
- 外道
- 遊天使
- 0‐Game
- Juto-ジュウト‐
- Unify~ユニファイ~セカンドジェネレーション収録作品
- 風嵐童子
- 司鬼道士 千堂寺八紘
- ふしぎ島のキオ
- Luck Stealer
短編でも読み応え抜群の完成された世界観
かずはじめという作者さんは短編が本当に素晴らしい。この2冊もファンタジーや現実世界を舞台にした作品が入り混じっているけど、作者の世界観は揺るがないのだろう。読んでいて(あぁ、かずはじめの世界だ…)と思わせてくれる。汚いものが溢れる世界で美しいものたちが生きるという感じ(伝われ)。
読み切りも連載もどの作品でも全体的にどこか暗さがあり、その中で生きる登場人物たちが生きる姿が美しく眩しい。短編が読みやすいと思うのは暗さが持続することなく簡潔に読み終わることが出来るからだと思う。この作者さんの世界観は長く読んでいると暗さに引き込まれるのでしんどくなる人もいるんじゃないかな。それは作者さんの描く作品が素晴らしいとも言えるんだけど。
とにかく私は大好きなので、是非読んでみてほしい作品です‼
人形草紙あやつり左近
- 原作・原案:写楽麿
- 作画:小畑健
- 単行本:全4巻(文庫版全3巻)
- 連載期間:1995年~1996年
あらすじと簡単解説
人間国宝の文学人形師・橘左衛門を祖父に持つ主人公橘左近が自身の操る童人形右近を相棒として様々な事件に遭遇し解決していく物語。ミステリーとサスペンス要素があり残酷な描写もあるが読んでいる読者もトリックを推理する楽しみを味わえる。数話で一つのエピソードが完結するオムニバス形式でストーリーが進んでいく。
ストーリーと絵の相性が抜群
何といっても作画の小畑健先生の絵がストーリーととても合っていて美しい。デスノートやバクマンで知った人もいると思いますが、この頃から素晴らしい画力。その美しい絵でミステリアスな物語を引き立てています。主人公の左近は普段は頼りない少年ですが、ひとたび事件解明に乗り出すと別人のように表情がキリっと変わり右近と2人で名探偵となり事件を鮮やかに解決していきます。
サスペンスなだけにちょっとグロテスクなシーンもありますが、トリックも強引ではなくしっかり作られていて見応えがあります。左近の姉である刑事の薫子のコミカルな雰囲気も丁度よく盛り込まれていていいと思います。
打ち切りになってしまった作品ですが、もう少し色々なエピソードを見たかったなと思うくらい面白かった。個人的に好きなエピソードは、右近がどのようにして作られたのかという過去を知るところです(読んでほしい)!
アニメ化もされていますので、興味のあるかたは是非チェックしてみてください。
AKABOSHI‐異聞水滸伝‐
- 作者:天野洋一
- 単行本:全3巻
- 連載期間:2009年
あらすじ
今から約900年前の中国・宋(そう)の時代。圧政と貧困に苦しむ民衆の中で、ある噂が囁かれていた。腐敗した国を倒し変えようと立ち上がる正義の集団「戴天行道(たいてんぎょうどう)」。その彼らに憧れる少女・翠蓮は絶望に飲み込まれようとする人々を励まし必死で希望を与えようとしていた。ある日、彼女の前に大剣を持つ一人の少年が現れる。彼の名は戴宗と言い、この世界に夜明けをもたらす明星(あかぼし)になろうとする少年だった。
抜群の画力が世界観とマッチ
サブタイトルにもあるように、中国の水滸伝を元に描かれている作品ですが色々とオリジナルの設定も盛り込まれています。かつて大ヒットした「封神演義」のように少年誌での連載に相応しいキャラ設定やコミカルに描かれる部分も見られます。
そして作者の天野洋一さんの絵がとても魅力的で素晴らしいです。主人公たち一般市民の生活の様子や貴族の豪華絢爛な雰囲気が上手く描かれているし、それによって苦しい生活を強いられている民衆との差もよく描き分けられていると思います。
主人公のライバル的なキャラも早々に登場するし、長く連載を楽しめそうな感じだったけど打ち切りになってしまいました。そのため原作の序盤あたりしか描かれず、水滸伝の見どころである108の星を持つ英雄たちはほとんど揃わないまま終わってしまう残念な終了でした。
しかし、それでも読む価値は十分にあると思います。キャラクターは魅力的だし展開もスピード感があって爽快、そして素晴らしい絵も見応えたっぷりです。
連載終了は残念ですが、その後のストーリーを読みたいと思わせてくれるとても良い作品です‼続きは小説を読むのもオススメですよ。私は封神演義に漫画からハマって小説を読んでメチャクチャ面白かったです。まずは漫画を是非読んでみてください!
柳生烈風剣連也
- 作者:野口賢
- 単行本:全1巻
- 連載:1992年(全9話)
あらすじ
実在した柳生連也斎の少年時代という設定で描かれたフィクション。小柄な体ながらも西洋のベルガ帝国の戦士を瞬時に倒す剣技を持つ少年・連也は普段はどこかとぼけたような性格。姉であるサヤカを慕いそのサヤカが柳生の里に攻め込んできたベルガ帝国の剣士ジークにさらわれたことで修業を重ね強さを身に付け、サヤカを救い出す為に西洋の大陸に渡りベルガ帝国に戦いを挑むという物語。
見どころとちょっとネタバレ
まず柳生新陰流という由緒正しき流派を受け継ぐ少年が西洋の剣士にリベンジを果たす為に大陸を渡る、というスケールのデカさにわくわくしましたね。メチャ強いのにちょっと天然でとぼけ気味の主人公という設定も少年誌の主役っぽい。
物語の後半でやっと再開を果たした姉上はすっかり剣士ジークに惚れ込んでいて連也はショックを受けるうえに、あろうことかサヤカはジークを守るために連也を手に掛けようとしたり。すごくかわいそうでツッコんでしまう。出番は少ないですが、ヒロインも途中から登場するので連也にも救いがありそうだと希望を持たせてくれる描写があります。
しかしベルガの戦士との戦闘シーンはとても迫力があるし、作者さんの絵柄がカッコいいんです!戦いが溢れていた時代の殺伐とした雰囲気とどこか影のある絵柄がとてもマッチしているので、独特な世界観に引き込まれて楽しめる作品だと思います。
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